イーサリアムのハードフォーク「コンスタンティノープル」2019年に延期！価格への影響懸念？

イーサリアムの開発者は11月に予定していたハードフォーク「コンスタンティノープル」を2019年初旬まで延期とすると発表した。

つい先日「予定通りリリースする」としていたはずだが、前言を撤回して延期に踏みきった真相を探ってみよう。

テストネットで生じた致命的な不具合

一言でいうと、テストネットで不具合が発見されたことが延期の理由のようだ。

The roll out of Constantinople on the Ropsten testnet has encountered unforeseen troubles including communication issues, technical problems, and differences between two of the client implementations. As a result Ethereum developers have opted to postpone the upgrade until 2019. (Brave New Coin) .
コンスタンティノープルのテストネット「ロプステン（Ropsten ）」上で、通信面や技術面など予期せぬ問題が発見された結果、開発者はアップグレードを2019年に延期すると決定した（ブレイヴ・ニュー・コイン）。

8 月の時点で既に数点のバグが確認されていたが、「時期を遅らせたら、より多くの機能をコンスタンティノープルに加えたくなるかも知れない」という理由で、当初は予定通り11月に実装を行う意向を示していた。

しかしその後、短期間では修正できないより深刻な問題がロプステンで起きてしまった。コンスタンティノープルは423万ブロックで実装されるはずが、422万9999個目で動作が停止してしまったのだ。「新たなチェーンでマイニングをしているマイナーはいなかった」という。

アップデート環境整備、間に合わず？

後日、原因究明の会議が開発者間で行われ、テストネットのアップデート環境が整っていなかったことが原因ではないか？という結論に達した。

the Ethereum Foundation revealed that recently added hashpower had caused the hard fork to happen two days earlier than expected, and as Parity had only released their updated client one day before, not all of the miners had been able to upgrade in time. (Brave New Coin) .
イーサリアム・ファウンデーションの発表によると、最近追加されたハッシュパワーが原因でハードフォークが予定より2日早まった上に、パリティ（Parity）によるアップデートが前日まで行われなかったため、一部のマイナーはアップデートに間に合わなかった（ブレイヴ・ニュー・コイン）。

しかもこのアップデートは参加者が少ない週末に試みられた。パリティのリリース・マネージャー、Afri Schoedon氏いわく「最悪のタイミング」だったわけだ。

ロプステンは無事復旧

イーサリアムの担当開発者ペーター・シロージギ氏のTwitterアカウントには、「延期＝問題」「ついにETHが100～150ドルまで暴落する時がきたか」といったネガティブな投稿が多数寄せられている。これに対しシロージギ氏は、「延期＝ロプステンが支障をきたすのを回避するため」とコメントを返している。

ロプステンは一時利用停止になっていたが、10月27日現在は復旧している。

価格への影響

期待外れニュースの影響をモロに受けたのはETHだ。コインデスクのデータによると、9月末には230ドルまで持ち直していたものの、12日には200ドルを下回り、現在は203ドルで甘んじている。

とりあえずロプステンは復旧しているし、「中止」ではなく「延期」なので希望はもてる。さらなる悪夢に襲われない限り、これ以上大幅に値が下がることはないだろう。コンスタンティノープルの日取りがはっきり決まればまた価格が上がるだろうし、ETHはMicrosoftを筆頭とする大企業や銀行と提携し、着実にメジャー路線を拡大している。

「1300ドル台に手が届きそうだった1月の高騰がまるで遠い昔のよう」と目頭を押さえている人も多いだろうが、今回の一件も「進歩の一環」という見方をすれば、そこまでそこまで悲観視する必要もないかと思う。「失敗なくして成功はあり得ない」と超ポジティブにとらえてみてはどうだろう。

大型アップデート第3弾の後半「コンスタンティノープル 」

イーサリアムはネットワークの最適化、手料金の削減、効率性アップなどを目指し、以下の全4回の大型アップデートを予定している。

1．フロンティア（Frontier）　2015年完了
2．ホームステッド（Homestead）2016年完了
3．メトロポリス（Metropolice）実施中
4．セレニティ（Serenity）未定

「コンスタンティノープル （Constantinople）」は大型アップデート第3弾「メトロポリス（Metropolis）」の後半。前半の「ビザンチウム（Byzantium）」は昨年10月に無事完了している。

メトロポリスがずいぶんズレ込んでいるので、セレニティがいつ頃になるのか予想もつかない。メトロポリスが無事来年初旬に完了したとして、早くて2020年ぐらいだろうか。