テゾス集団起訴最新ニュース「ドレーパー氏は免責」しかし抗争は続く
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ICOがらみで4件も同時に集団起訴を起こされていたテゾスだが、ようやく動きが出ている。
カリフォルニアの集団起訴事件で、「未登録有価証券(=XTZ)の売却に関する様々なプロジェクト参加者」として訴えられていた被告対象から、ティム・ドレーパー氏とビットコイン・スイスが免責された。
しかし「これにてすべて一件落着」というわけにはいかない。
ドレーパー氏とスイスが免責になった理由
この一件は昨年7月、テゾスが総額2.32億ドルを調達したICO後、アーマン・アンヴァリ氏を筆頭原告とする一団が、プロジェクトの共同設立者であるアーサーおよびキャスリーン・ブレイトマン夫妻と、彼らが管理する会社ダイナミック・レジャー・ソリューションズ(DLS)、ドレーパー氏とテゾス・ファウンデーション、ビットコイン・スイスを訴えたもの。
1年近く経過した今年8月、カリフォルニア州の裁判所が判決を下した。要約すると以下のような感じだ。
According to U.S. District Judge Richard Seeborg of the Northern District of California, the motions by Draper and Swiss-based crypto financial services company Bitcoin Suisse to dismiss them as defendants in the Tezos securities litigation case have been granted (CNN).
カリフォルニア州北部地区のリチャード・シーボリ地区裁判官は、テゾス証券起訴に対するドレーパー氏とビットコイン・スイスの却下申立てを認めた(CNNより)。
シーボリ地区裁判官は両者が免責になった理由を、「両者には直接的な支配権がなかったため、個別に責任を負うことはできない」と説明している。
原告側にすれば、著名なエンジェル投資家であるドレーパー氏がテゾスに肩入れしていることをメディアで堂々と宣言していたことが原因で、ICOに参加してしまったといいたいのだろうが、ドレーパー氏があくまで広告塔の役目に徹していたのであれば、シーボリ地区裁判官の判決が妥当かと思う。極端に比較すると、CMやネットである商品の宣伝をしていた芸能人を、その商品が不良品だと分かったから訴えるという感じではないか?
ブレイトマン夫妻、DLS、ファウンデーションには責任あり?
しかしブレイトマン夫妻とDLS、テゾス・ファウンデーションに関しては、長くて険しい道のりが待ちうけているっぽい。
コインデスクの報道によると、ブレイドマン夫妻は「ICOはテゾス・ファウンデーションが管理しているものなので、自分たちやDLSには責任がない」と反論しているが、裁判官はこれを却下。
However, the judge said the involvement of DLS “in establishing and aiding the Tezos Foundation rendered the two entities deeply intertwined, if not functionally interchangeable, throughout the ICO process. (CoinDesk)”
「ICOプロセスを通じて、テゾス・ファウンデーションの設立と援助におけるDLSの関与は、両者を深く結びつけている(コインデスクより)」
また夫妻による「米国外で実施されたICOに、米国の法律を適用するのはおかしい」という反論も却下された。
“Anvari participated in the transaction from this country (the U.S). He did so by using an interactive website that was: (a) hosted on a server in Arizona and; (b) run primarily by Arthur Breitman in California. He presumably learned about the ICO and participated in response to marketing that almost exclusively targeted United States residents.(CoinDesk)”
「原告アンヴァリは被告アーサー・ブレイトマンがカリフォルニアで運営し、アリゾナ州のサーバーがホストするサイトを通し、米国での取引に参加した。被告は(テゾスによる)米国の住民をターゲットにしたマーケティングの結果、テゾスのICOについて学び、参加した(コインデスクより)」
これはもう、ちょっとぐうの音もでないかな?という見事な正論であるため、今後の裁判の進行次第では、ブレイトマン夫妻、DLS、テゾス・ファウンデーションが何らかの責任を問われるのは免れないだろう。
そんなこんなで、昨年12月には10ドルに手が届きそうだったXTZの価格は、8月11日現在1.49ドルまでガタ落ちしている(コインマーケットキャップより)。
法の手を巻き込んだテゾスチームVSアンヴァリチームの戦いは、まだ当分続きそうだ。
ドレーパー氏とは何者?
「ビットコイン・ビリオネア」として知られる米著名エンジェル投資家。仮想通貨取引所コインベースから仮想通貨バンコール、中国最大の検索エンジン企業バイドゥ(百度)、米電気自動車メーカー、テスラまで、投資分野は広範囲におよぶ。テゾスもそのひとつ。
テゾス・ファウンデーションとは何か?
「クリプトバレー(仮想通貨の谷)」の異名をもつスイスのツーク州で設立された財団。しかしプロジェクト詐欺疑惑騒動が勃発してからは、2月にヨハン・ゲーヴァース財団代表が辞任し、「ブレイドマン夫妻が乗っ取りを画策しているのでは?」などという不穏な憶測も流れている。
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