韓国政府「仮想通貨取引所はVC企業ではない」支援対象から除外
この記事は約5分で読めます。
韓国政府が8月13日、仮想通貨取引所をナイトクラブクラブやバーと同じ位置付けにし、ベンチャー(VC)企業として支援しない方針を発表した。
仮想通貨法案についても議論が続いているが、こうした動きを韓国の仮想通貨投資家は歓迎しているらしい。
韓国政府の発表
韓国中小企業およびスタートアップ庁(MSS)の発表の要約・翻訳は以下の通りだ。
“The Small and Medium Venture Business Department [of the MSS] has no intention to regulate cryptocurrency trading and disclosures (ICOs), but as problems such as speculation emerge, cryptocurrency exchanges are not a target for the government to encourage as a venture enterprise(CoinTelegrah).”
「MSSの中小ベンチャービジネス部門は仮想通貨取引やICOを規制する意思は一切ない。しかし投機などの問題を考慮すると、政府は仮想通貨取引所をVC企業として促進するわけにはいかない(コインテレグラフより)」
ただし、ブロックチェーン技術と関連企業はこれに含まれない。来年は今年の予算から65%増の5兆ウォンの予算を組んでブロックチェーンなど8つの産業を支援する意向を示しているので、
仮想通貨=VC企業として支援しない
ブロックチェーン=VC企業として支援する
という境界線をハッキリさせたというところだろうか。似たような方針を打ちだしている国はほかにもあるので今さら驚きはしないものの、今度の影響が気になる。
韓国の仮想通貨投資家は楽観視?
意外にも地元韓国では事態を楽観視する仮想通貨投資家が多く、「韓国で仮想通貨が合法産業になるのは秒読み」という見方が強いようだ。
6月以降、政府の働きかけでデジタル資産に関する実用的な規制環境が着々と整っているため、投資家の立場からすると「安全かつ効率的に仮想通貨取引きができる」という期待が高まっているのだろう。地方金融当局と金融委員会(FSC)は、仮想通貨関連業者を規制金融機関として認識し、FSCの権限下に置くことによって業界を正当化することに焦点を当てている。MSSによる発表もその一環だ。
現在は議会が仮想通貨およびブロックチェーン法案について議論していて、これが通過すると規制環境が相当厳しくなりそうだ。
Once the cryptocurrency and blockchain bill is passed by the Congress, every cryptocurrency exchange will be required by law to comply with the same security, internal management, and anti-money laundering (AML) policies local banks and financial institutions are required to remain in compliance with (CNN).
法案が議会を通過した場合、すべての仮想通貨取引所は通常の金融機関同様、セキュリティー、内部管理、マネーロンダリング防止(AML)方針に準拠することが要求される(CNNより)。
釜山が「クリプトバレー」に?
こうした規制整備が進むとともに、韓国の仮想通貨環境はかなり熱くなり始めている。
CNNの報道によると、政府の熱意に後押しされ、釜山を筆頭とする地方政府が仮想通貨取引所や開発者、技術者などを誘致し、スイスのツークに続く「クリプトバレー」設立を目指すと発表。独立して活動する権限をもつ韓国の済州島も、仮想通貨とブロックチェーンの先進国である「次のマルタ」の座を狙っている。
今月に入り、大手仮想通貨取引所ビッサムが入出金を再開するなど、韓国仮想通貨市場のテンションを上げるニュースも続いている。ビッサムは6月に大規模なハッキングを受け、一時的に入出金サービスを停止していた。
「クリプトバレー」ツーク、「仮想通貨大国」マルタとは?
ともに租税回避地として有名なツークとマルタは、仮想通貨産業の育成や誘致にも力を入れている。「クリプトバレー(仮想通貨の谷)」の異名をもつツークは、過去数年で200~300社の仮想通貨関連企業が設立されているとか。
一方マルタへは、バイナンス、OKEXといった大手仮想通貨取引所やブロックチェーン企業ニューファンド(Neufund)、ブロックチェーン・ゲームプラットフォーム「アビス(The Abyss)」などが続々と拠点を移動させている。
しかしEU加盟国であるマルタに関してはEUが仮想通貨規制に乗りだしたが最後、環境がガラリと変わるかもしれない。
関連記事