ウィンクルボス兄弟発案!米ドルステーブルコイン「ジェミニ・ドル(GUSD)」とは?
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ビットコイン・ミリオネアのウィンクルボス兄弟が発案し、世界で初めて米政府の承認を受けた米ドル裏付けステーブルコイン「ジェミニ・ドル(GUSD)」の3つのポイントを紹介する。
既に「テザー(USDT)の脅威となるか?」などといわれていて、これから盛り上がる期待大なので要チェックだ。
コンテンツ目次
ポイント(1) 仮想通貨セレブ、ウィンクルボス兄弟発案
仮想通貨取引所ジェミニを運営するビットコイン・ミリオネア、ウィンクルボス兄弟が発案者。2010年に公開された映画「ソーシャル・ネットワーク」で、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOの敵役のイヤな双子として描かれていたが、現実の世界でもザッカーバーグを訴えるなどりしつつ、ビットコインで大儲けした仮想通貨セレブである。
今年2月、7月と立て続けに米国証券取引委員会(SEC)にビットコインETF(上場投資信託)の申請を拒否され(リンクはPDF)、市場をガッカリさせた。
ポイント(2) 米ドルに裏付けされている
テザー(USDT)同様、米ドルに裏付けされているが、こちらはニューヨーク州金融サービス局(DFS)に発行の承認を受けた信頼性の高さがウリ。発行元はウィンクルボス兄弟が設立したジェミニ・トラスト・カンパニー。正式名は「ジェミニ・ドル(Gemini Dollar)」。
ジェミニはDFSが発行する「ビットコイン・ライセンス」も取得しているが、ステーブルコインに対しても同じような規制フレームワークが適用されるべきだと考えている。
In the context of a stablecoin, we submit that the issuer must be licensed and subject to regulatory supervision (Gemini Dollar White Paper) .
ステーブルコインにおいては、発行者はラインセンスを取得し、規制当局の監視下に置かれるべきだ(ジェミニコイン・ホワイトペーパー)。
ポイント(3) 老舗銀行に預入れ
裏付けとなる米ドルは、創業226年、ボストンの老舗金融機関ステート・ストリート銀行に預けられている。米国ドル預金残高は公認会計事務所BPM が毎月きちんと監査する。独立系会計士の報告書は全て、ジェミニのサイトでチェックできる。
米連邦預金保険公社(FDIC)の対象口座なので、万が一銀行が破たんしても預金者に対して一定の補償が提供される。
この辺りも、破たん寸前と報じられるプエルトリコの銀行に眠っている(はずの)USDTとは雲泥の差である。
目玉ポイント(4) イーサリアムのERC20基準
ジェミニ・ドルは、イーサリアムネットワーク上のERC20準拠トークンとして構成されているので、イーサリアムネットワーク上で送金でき、イーサリアム・アドレスに保管できる。
GUSDの狙い =仮想通貨版米ドル
GUSDの狙いは、従来の銀行システムと仮想通貨市場間のギャップを埋める点にある。仮想通貨を投資として購入する人は増えたが、それに比べると商品の売買にはあまり利用されていない。しかし安全で信頼できるGUSDのような仮想通貨の登場により、世界中の資本を移動させることが可能になる。
テイラー・ウィンクルボス氏はCNBCの取材で以下のようにコメントしている。
“It is really a matter of bringing your US dollars on to the blockchain and making them borderless 24/7,” Tyler Winklevoss told CNBC over the phone.
「(GUSDの発想は)米ドルをブロックチェーン化して、24時間365日国境を越えて使えるようにすることだ」
全トークン凍結可能?
安全性・信頼性の高さがウリのGUSDだが、それゆえに中央管理的なスタンスを指摘する声もある。
ブロックチェーン研究家のアレックス・レベッド氏は「グッド・オーディエンス」で、GUSDのコードレビューを公開している。
The current implementation gives Gemini the ability to freeze any account or make all tokens non-transferrable. The custodian is able to completely change the implementation of the token every 48 hours (GOOD AUDIENCE).
現在の実装により、ジェミニは全てのアカウントを凍結する、或いは全てのトークンの送金を止めることが可能だ。48時間ごとにトークンの実装を完全に変更することもできる(グッド・オーディエンス)。
しかしジェミニはGUSDの悪用を防止する意味で、こうした中央管理的な権限の必要性をホワイトペーパーでも明らかにしている。
DFSが2015年に導入したビットコイン・ライセンス
ニューヨークの規制当局は2013年という比較的早い段階から、仮想通貨に関する違法行為の取り締まり対策を検討していた。議論の末、2015年にビットコイン業者にライセンス取得を義務化する「ビットコイン・ライセンス」が導入されている。
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