仮想通貨取引所ビットレックスがBTG上場廃止　ハッキング損害賠償でバトル勃発

米仮想通貨取引所ビットレックス（Bittrex）がビットコイン・ゴールド（Bitcoin Gold）の上場を廃止した。5月のハッキングの損害賠償をめぐって大もめした結果、ビットレックスがブチ切れて「じゃあ、もう決別！」という結果になってしまったワケだ。

ビットコイン・ゴールドが発表

ビットコイン・ゴールドのサイトで以下の公式発表がチェックできる。

We regret to inform our community that the crypto exchange Bittrex has decided to de-list BTG after we declined to pay them 12,372 BTG to remain listed.
誠に遺憾ながら、我々が仮想通貨取引所ビットレックスに対する12372 BTGの支払いを拒否した結果、同取引所はBTGの上場を廃止する決定を下しました。

ビットコイン・ゴールドが拒否した支払いは、5月の51%攻撃でビットレックスが受けた被害を賠償するもの。ビットレックスはハッキングの責任がビットコイン・ゴールドにあるとして、損害賠償を要求していた。

ビットコイン・ゴールドが要求に応じなかったので、後に「負担を約6000BTGまで減らす」と交渉してきたそうだが、結局「示談」には至らなかった。

ビットコインゴールドの反論

ビットコイン・ゴールドのサイトには「ビットレックスとの間で実際になにが起こったのか？」について、ちょっとびっくりするぐらい長文の説明が掲載されているのだが、決断を下すにあたり、「BTGコミュニティーへの潜在的な影響を考慮しつつ、委員会が慎重に協議を行った」と主張している。

our Board carefully considered their demand but concluded we are not empowered to make a disbursement from the Endowment for the purpose of covering a private company’s losses from their own security failures. The Endowment is intended for direct long-term expenses of running the project, as covered in our founding Roadmap/Whitepaper.
民間企業が自らのセキュリティーの不首尾で招いた損失をカバーする目的で、保有している基金を使う権利はないという結論に委員会は達した。基金の支出は、ロードマップ/ホワイトペーパーに記載されているように、プロジェクトを運営するための長期的な直接経費を対象とすべきである。

つまり、「自分たちのセキュリティー対策が甘くてハッキングされたのに、なんでこっちが自腹を切ってロスを負担しなければいけないのだ？」と突っぱねたわけである。

市場への影響は？

「どちらのいい分が正当か？」はさておき、市場への影響が気になるところだ。

ビットコイン・マーケットキャップのデータによると、9月20日現在の価格は20.80ドル。発表後しばらくは20ドル台を下回る状態が続いたが、13日以降は上昇傾向を保っている。

ビットコイン・ゴールドは、「ビットレックスは最近流動性が低くてビッサム（Bithumb）やバイナンス（Binance）とは比べ物にならないので、当社にとっては打撃にはならない」と、挑発的なコメントを発表している。ビットレックスは今のところ、応戦していない。

9月7日の「仮想通貨時価総額ランキング」と「仮想通貨取引量ランキング」で、ビットコイン・ゴールドとビットレックスがともに世界28位というのは、ちょっとした奇遇だ。

サイバーセキュリティー・エンジニアが設立したビットレックス

Amazonのサイバーセキュリティー部門のメンバーが、2014 年にワシントンで立ち上げた取引所。BTCからリップル（XRP）、イーサリアム（ERH）、テザー（USDT）まで、主要通貨を取り扱っている。ハッキング騒動で一気に信頼を失った感が強いが、現在は「安全性の高いプラットフォーム」を売り文句にしている。

ハードフォークから生まれたビットコイン・ゴールド

ビットコイン・ゴールド（BTG）は2017年10月、ハードフォークによって誕生したアルトコイン。ビットコイン（BTC）が「SHA256」というアルゴリズムを採用しているのに対し、こちらは「エクイハッシュ（Equihash）」というアルゴリズムを採用している。