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BTC急落は「クジラ」が原因ではない?

2018/10/19

クリプトボーイ

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「ビットコイン(BTC)の急落はクジラ(大口トレーダー・投資家)が引き起こした!」などと報じられていたが、「価格の下落どころか安定化に貢献しているよ」というレポートがつい先日発表された。

そもそもBTCクジラとは何者なのか?BTC価格にとって悪なのか善なのか?問題のレポートから検証してみよう。

BTCクジラは弱気時に買い増ししている

2018年9月にBTCが2日間で15%も急落した際、ブルームバーグは「約20億ドル相当のBTCを保有するクジラが、8月23~30日にかけて5万500BTC(3.2億ドル相当)を売却した」と報じ、急落は意図されたものではないかと推測していた。

いかにもあり得そうな話なのだが、10月に入り、その推測に「待った!」をかけるレポートを仮想通貨調査企業チェーンアナリシスが発表した。同社はBTCの保有量が最も多い32のウォレット=BTCクジラを徹底的に分析し、クジラが市場を下落させているどころか、むしろ安定化に貢献しているという結論を下した。

Our data demonstrates that Bitcoin whales are a diverse group, and only about a third of them are active traders. And while these trading whales certainly have the capability of executing transactions large enough to move the market, they have, on net, traded against the herd, buying on price declines (Chainalysis).
BTCクジラは多様なグループであり、その約3分の1だけが活発に取引を行っているトレーダーであることをデータは示している。これらのクジラは、市場を動かすのに十分なBTCを保有しているが、弱気時には売却せずにあえて買い増ししている(チェーンアナリシス)。

さらに大量に売却する際は、市場に影響がでにくいOTC を利用しているという。クジラが「市場を引っ掻き回すことには興味がない投資のプロ」である点を考慮すると、チェーン・アナリシスの分析は筋が通っている。

約7割のBTCは眠っている

分析の対象となった32のウォレットが保有するBTCは、合計約100万BTC、63億ドル相当。BTCクジラの種類とそれぞれの保有量は以下の通り。

定期的に取引を行うトレーダー……33.2万BTC(33.1%)
マイナー・初期アダプター……33.2万BTC(33.1%)
秘密鍵の紛失……21.2万BTC(21.2%)
犯罪者……12.5万BTC(12.5%)

活発に取引を行っているトレーダーや投資家が保有しているBTCは全体の33.1%で、マイナー・初期アダプターや犯罪者は2011年以降ほとんど売買せず、BTCを寝かせている。秘密鍵の紛失によって失われたBTCも含めると、66.8%のBTCが取引されていないということになる。

The data suggests otherwise. During the major price declines of December 2017 and most of 2018, trading whales were actually net purchasers of bitcoin(Chainalysis).
2017年12月~2018年に渡る主要(仮想通貨の)価格下落の際、クジラはBTCの買い手だった(チェーンアナリシス)。

この分析では対象外となった仮想通貨取引所の動きを分析すると、また違う結果が出るのかもしれない。しかし以上のデータを見る限り、「BTCクジラは価格の急落には関係なく、むしろBTC市場を安定させようとしている善人」という結論に落ち着く。クジラの皆さんは汚名を返上できて、さぞかしホッとしているだろう。

クジラのほかにイルカもいる?

巨額の取引を行う大口トレーダー・投資家を指す「クジラ」という表現は、どこからきたのか?

気になって調べてみると、市場を巨大な海に、トレーダーや投資家を魚に比喩している。仮想通貨だけではなく、一般的な投資でも使われている。

大口トレーダー・投資家がクジラならば、小口トレーダー・投資家はメザシ?と思いきや、メザシはいないがイルカはいる。イルカは1000BTC規模の取引をたまに行うトレーダーや投資家を指すらしい。

BTCクジラが増えている

BTCクジラはビットコイン・インベストメント・ファンズ(Bitcoin Investment Funds)などファンド系が多いのだが、最近はパンテラ・キャピタル(Pantera Capital)、バイナリー・ファイナンシャル(Binary Financial)、ビットコイン・インベストメント・トラスト(Bitcoin Investment Trust)などが、続々とBTCクジラとして浮上している。

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