イーサリアム最強のトークン基準「ERC777」はどうなった?
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「イーサリアム最強のトークン開発標準になるかも?」と期待されている「ERC777」だが、8月の発表予定を過ぎても始動する気配がない。
将来的に「ERC20」をリプレイスするとまで言われていたはずなのに、一体どうなっているのか?進行状況やその特徴を、コインテレグラフなどの記事からまとめてみた。
ちなみに時系列に並べると、ERC20(提案2015年11月)→ERC223(提案2017年3月)→ERC777(提案2017年11月)となる。
コンテンツ目次
「ERC20」とは? 簡単に理解する
「ERC20標準・対応」なんて言葉を聞いても、実はERC20が一体何者なのか理解しないままトークンを受け渡ししているという人のために、まずはERC20について簡単にご説明しよう。
「ERC 20標準」とは、トークン契約が実装しなければならない機能およびイベントを定めた規格のこと。規格を設けることで、様々なトークンを同じウォレットやアプリで使えるようになる。2015年11月に提案された。
ERCはイーサリアムの技術仕様について議論するGithubのスレッド「Ethereum Request for Comments」が語源。ここで20番目に提案されたのが、トークン仕様の標準規定を設けることだった。
ERC20標準は瞬く間に浸透し、今日ではイオス(EOS)、ジリカ(ZIL)、バイナンスコイン(BNB)、オミセGO(OMG)、アイコン(ICX)など、多数の人気トークンがERC20 規格だが、実は致命的な欠点がある。間違った、あるいは存在しないアドレスにトークンを送信してしまった場合、そのトークンは永遠に取り戻せないのだ。既に多額の被害がでているので、ERC20トークンを送信する時はしつこいぐらい確認しよう。
不発のERC223 ?期待すべきはERC777?
解決策として登場したのがERC223 だ。万が一間違ったアドレスに送金してしまっても、送金主のアドレスに戻される仕組みになっている。
しかしどういうわけか、ERC20ほど人気がない。そこでイーサリアムの開発者チームはラッキーナンバーにちなみ、新たに「ERC777」を提案した。
こちらはコントラクト自体がトークンの送信・受信をできるという、実に画期的な提案で、コニュニティーからも受け入れられている。「ERC-820」プロトコルとの連動で、「ITokenRecipient」を通して送信先のアドレスを確認してから実行するので、「トークンが消えた!」という惨事も未然に防げる。
主な特徴は以下の通りだ。
ERC777の4つの重要な特徴
コントラクトの送付がより安全で簡単にできる
「バイ(Bytes)」という新しいトランスファー機能を導入することで、送信に関する認識情報を追加できるほか、自動的に受信契約を許可する。
自動的にトークンを転送・バーンできる
所有者の代わりにトークンを転送しバーンできる「Trusted Operator(信用できるオペレータ)」という機能を導入。例えばETHの即時自動決済の実行などに利用できる。
間違い送信・トークン損失を防止
アドレス間違いによってトークンを失う心配をしなくていい。
ERC20と互換性がある
以前のバージョンの標準に基づくプロジェクトは、問題なくERC777に移行させることができる・・・はず?
発表延期について開発者が釈明
ERC777はイーサリアムの欠点を埋めるに値する最強の提案なのだが、発表が大幅にずれ込んでいる点が気にかかる。7月にベルリンで開催されたデポコンでは「8月にでるぞ!」という発表だったのだが、時は流れ、夏はすっかり終わってしまった。しかも開発チームは沈黙を守っている。
「あれだけ期待させておいて、まさか立ち消えになったのでは・・・?」と懸念するイーサリアムユーザーのひとりが、勇敢にもTwitterで開発者のジャック・ダフロン氏に疑問をぶつけた。
We had more work and more feedback than anticipated and I had to focus on my thesis which delayed the work on the actual standard. I have to clarify a couple things in the standard and update the reference implementation. We hope to move ERC777 to last call soon as well (@jacquesdafflon).
開発チームには予想以上に多くの仕事とフィードバックがあったし、私自身は論文に専念する必要があったので、(ERC777の発表が)予定よりも遅れてしまった。いくつかのことを明確にし、リファレンス実装を更新する必要があるが、私たちももうすぐERC777を発表できることを祈っているよ(ジャック・ダフロン)。
ダフロン氏のTweetが本当ならば、遅くても年内にはERC777がでると期待してもいいかも?イーサリアム・ファウンデーションがいまだにERC20を強く支持していることも、ERC777が出遅れている理由のひとつかも知れない。
仮想通貨を燃やす?「バーン」
仮想通貨を燃やすことを意味する「バーン(Burn)」。実際に燃やせるわけではなく、誰にもわからないアドレスに秘密鍵を送りつけて、再使用不可能にする方法だ。基本的には市場での流通量を意図的に減らすことで、そのコインの希少価値を高めるという小技である。
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