「2017年のビットコイン急騰はテザーを使った価格操作だった?」衝撃の論文発表
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地球のみなさん、こんばんは!
クリプトボーイです。
「年末のビットコイン(BTC)の高騰が、実は価格操作されていた?」という論文が発表され、BTCの価格が6200ドルへとさらに落ち込む事態が発生した。
疑惑の渦中にある仮想通貨テザー(USDT)と香港の仮想通貨取引所ビットフィネックスが、影の立役者としてやり玉に挙げられている。
価格操作疑惑を学術的に検証
レポートはテキサス大学財政学部ジョン・グリフィン教授とエミン・シャムス教授が6月13日に発表したもの。ビットフィネックスがBTCと連動性が強いUSDTを利用して、BTCの価格を意図的に押し下げた可能性を検証している。
Using algorithms to analyse the blockchain data, we find that purchases with Tether are timed following market downturns and result in sizable increases in Bitcoin prices. Less than 1% of hours with such heavy Tether transactions are associated with 50% of the meteoric rise in Bitcoin and 64% of other top cryptocurrencies.
アルゴリズムでブロックチェーンのデータを分析したところ、相場が低迷している時にUSDTを使ってBTCが購入されており、それがBTCの価格を押し上げる結果となった。USDTの取引量が急激に増えた時間は1時間の1%にも満たないが、BTC急騰の50%、そのほか主要仮想通貨急騰の64%と関連付けられる。
グリフィン教授らはビットフィネックスに出入りするトークンの流れを分析し、内部の誰かがBTCを含む主要仮想通貨の価格を押し上げたと示唆する複数のパターンを検出した。同時間帯、ほかの仮想通貨取引所ではこれらの仮想通貨は低迷していたという。
価格操作の決定的な証拠ではないものの、「なぜ特定の仮想通貨取引所だけで価格急騰がみられたのか?」という疑問がわく。「USDTはビットフィネックスが発行する仮想通貨」という事実が、疑惑をますます深くしている。
グリフィン教授たちにも、すっかり「怪しい」の太鼓判を押されてしまった。
Overall, we find that Tether has a significant impact on the cryptocurrency market. Tether seems to be used both to stabilize and manipulate Bitcoin prices.
「USDTが仮想通貨市場に大きな影響をあたえるのは間違いない。BTCの価格の安定あるいは操作の両方に利用されているものと思われる」
ビットフィネックスの反論
ここまであからさまな批判を受けて、ビットフィネックスが引っ込んでいるわけがない。ニューヨークタイムズ紙の報道によると、ヤン・ルドヴィークス・ファンデル・ヴァンデCEOは、こうした疑惑を一切否定している。
“Tether issuances cannot be used to prop up the price of Bitcoin or any other coin/token on Bitfinex,”
「取引所において、BTCやほかの仮想通貨、トークンの価格をUSDTで引き上げるなど不可能だ」
このレポートの出現によって、テザーとビットフィネックスはさらに際どい窮地に立たされそうだ。
「米ドルで裏付けされたステーブルコイン」を売りにしているUSDTだが、大量発行によって価格操作を行っている疑惑が浮上し、既にひと騒動持ち上がっている。ビットフィネックスは批判者を処罰するために法的手段に訴えると主張しているが、このまま議論が波紋を呼べば、仮想通貨産業にさらに深刻なダメージを与えるかもしれない。
ここまで騒ぎが大きくなれば、本来は米政府機関あたりが踏みこんでくるところだが、ビットフィネックスは香港を拠点としているので、話がまた違うのだろう。
逆風にも負けず、USDTはコインマーケット・キャップの時価総額ランキングで順位を上げ続け、6月17日現在11位を記録。NEO(NEO)やダッシュ(DASH)、モネロ(XMR)を追い抜く快挙を成し遂げた。価格は1ドルジャストをキープ。
BTCは6359.58ドル、400ドル台を切っていたETHは563.41ドルまで持ち直している。
価格の高騰が市場の関心によるものではなく、単なる価格操作の結果だったとしたら?--想像するだけでげんなりするので、このまま何もなかったことにして欲しい気もする。しかし「証拠もないただの疑惑」とうやむやにするよりも、キッチリと追及し、白なら白、黒なら黒と明らかにした方が、長期的には仮想通貨産業にとってプラスになるのではないか?
USDTとは?
ビットフィネックスが2015年に設立したテザーを通し、発行している仮想通貨。「ステーブルコイン(安定した通貨)」という名にふさわしく、ほかの仮想通貨のように極端に価格が変動しないのが特徴。
米国のクラ―ケン(Kraken)やシンガポールのワウー・エクスチェンジ(Wowoo Exchange)、ウクライナのエクスモ(EXMO)などに上場しているが、残念ながらクラーケンは日本在住の顧客に対するUSDT取扱いサービスは今年3月で終了したようだ。
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