「ビットコインETFはボラティリティ拡大させる」カリスマ仮想通貨研究家が懸念表明
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ウィンクルボス兄弟の一件に続き、米国証券取引委員会(SEC)が新たに9つのビットコインETF(上場投資信託)を却下したが、著名仮想通貨研究者アンドレアス・アントノプロス氏は「承認されたら価格のボラリティがさらに激しくなる」と懸念している。
今回もETF非承認だった理由
SECは8月22日、プロシェアーズ(ProShares)とディレクシオン(Direxion)、グラナイトシェアーズ(GraniteShares)が申請していた合計9つのビットコインETFを非承認にすると発表した。却下の理由は以下の通り。
“the Exchange has not met its burden under the Exchange Act and the Commission’s Rules of Practice to demonstrate that its proposal is consistent with the requirements of the Exchange Act Section 6(b)(5), in particular the requirement that a national securities exchange’s rules be designed to prevent fraudulent and manipulative acts and practices. (CoinTelegrah)
「取引所による提案は、取引所法および取引委員会規則の取引所法第6条(b)(5)--特に、国家証券取引所の規則が不正行為や不正行為の防止を配慮しているという要件を満たしていない(コインテレグラフ)」
SECは7月、同様の理由でウィンクルボス兄弟のビットコインETF申請を拒絶している。
世界初の承認は来年3月以降?
残すはシカゴオプション取引所によるビットコインETF申請のみだが、こうなるともう「SECはことごとくビットコインETFを却下しまくるのではないか?」という気がする。
しかしコインデスクの報道によると、カナダ最大の独立系ウェルスマネジメント、カナコード・ジェニュイティ(Canaccord Genuity )は、シカゴオプション取引所のビットコインETFが世界初の承認を受けると予想している一方、最終的な判断は2019年3月以降になると見込んでいる。
SECは、「イノベーションや投資としての、ビットコインやブロックチェーン技術の価値を評価しているのではない」と強調しているので、水準を満たすものであれば承認される可能性もあるだろう。
著名仮想通貨研究者はETF承認に反対
しかし承認される=いいことづくめ、という訳ではなさそうだ。著名仮想通貨研究者アンドレアス・アントノプロス氏は、ビットコインETFの承認に異論を唱えている。
“What we have seen in other markets is that when an ETF becomes available, the price really increases dramatically, as suddenly that commodity becomes available to a lot more investors and these investors pile on. But, the other side of it, is that there are always these claims that the commodities markets are heavily manipulated and opening up these ETFs only increase the ability of institutional investors to manipulate the prices of commodities.(CNN)”
「ビットコインETFが承認されればより多くの投資家の関心を集め、価格が高騰する。しかしその一方で、機関投資家によるコモディティ価格を操作する能力を高めるだけとの懸念もある(CNN)」
要するに、ビットコインETFは機関投資家や小売業者も市場に参加するチャンスになるかも知れないが、それと同時に、資本力のある投資家がビットコイン価格を操作するチャンスにもなりかねないと、アントノプロス氏は懸念しているのだ。
CNNは同氏の懸念を「起こり得る事態」と想定している。例えば、現在申請中のシカゴオプション取引所によるビットコインETFが承認され、市場に数十億ドルの新規資本が流れ込めば、ビットコイン価格が大幅に変動しても不思議ではない。
CBOEのビットコインETF申請
CBOE は7月、バネック・ソリッドX・ビットコイン・トラスト(VanEck SolidX Bitcoin Trust)が発行する「バネック・ソリッドXビットコイン・シェアーズ」のETFをSECに申請。
本命視されているものの、8月中旬までに下されるはずだった承認・非承認の決定が、9月末に延期されている。
アントノプロス氏とはどんな人物?
ギリシャ出身のカリスマ的ブロックチェーンおよびビットコイン専門家。現在はキプロスのニコシア大学で教鞭をとるほか、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン参考基準レート(BRR)の監視委員も務める。2014年に出版した『Mastering Bitcoin』は仮想通貨投資家のバイブルだ。
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