北朝鮮がマイニング失敗？ビットコイン取引所開発中？国際カンファレンス開催？

「北朝鮮が仮想通貨のマイニングにチャレンジし、ビットコイン取引所の開発に乗りだしている！国際カンファレンスも開催する！」という、衝撃的なニュースが入ってきた。

盛沢山過ぎて逆に嘘くさいのだが、詳しい流れを見てみよう。

昨年マイニングに失敗していた？

情報は韓国の聯合ニュースが、韓国産業銀行（KDB）のレポートについてまとめたもの。

North Korea appears to have tried to mine cryptocurrencies on a small scale(…)The report, compiled by a research unit of South Korea’s state-run Korea Development Bank (KDB), also claimed that a North Korean technology firm, named Chosun Expo, is developing and selling a market-exchange platform for bitcoin（YANHAP NEWS）.

韓国の国営銀行であるKDBのレポートによると、北朝鮮は小規模な仮想通貨のマイニングを試みたようだ（中略）。また、朝鮮エキスポ（Chosun Expo）なるIT企業がビットコイン取引所を開発中であることも報告されている（聯合ニュース）。

北朝鮮は、昨年5～6月にかけてビットコインのマイニングに挑戦したが、あえなく失敗－－という悲しい結果に終わったらしい。「匿名性や追跡の難しさといった仮想通貨の特徴」を特定しようとしていると、KDBは推測している。

北朝鮮が仮想通貨に興味津々の理由

同レポートでは、「北朝鮮の国民のほとんどが仮想通貨について知らない」ことが指摘されているが、最近行われた北朝鮮からの亡命者の取材でも、全員が「母国ではだれも仮想通貨なんて知らない」と答えたそうだ。同国の背景を考えると、まぁ、知らなくて当然か？という気がする。

北朝鮮が仮想通貨に興味津々な理由は何なのか？

North Korea has been under international sanctions for its nuclear and missile programs, and there is a mounting speculation that the North is setting its sights on securing cryptocurrency funds （YANHAP NEWS）.
北朝鮮は核・ミサイル開発をめぐり、国際的制裁を受けている最中だ。仮想通貨で資金を確保しようとしているのではないか？という憶測が強まっている（聯合ニュース）。

しかし現実的にみて、北朝鮮にはブロックチェーンのインフラどころか、高性能コンピュータや電力、インターネット・ネットワークも十分に確立されていない。「仮想通貨産業の拡大には時間がかかるだろう」とKDBは結論づけている（bitcoin.comによる）。

謎のIT企業、朝鮮エキスポの存在を追う

「ビットコイン取引所を開発している」という報道も非常に気になるが、残念ながら詳細は不明だ。北朝鮮のIT企業リストを掲載している「北朝鮮テック」というサイトで公開されている朝鮮エキスポのサイトアドレス「http://www.chosunexpo.com」をチェックしようとしたが、「お探しのサイトは見つかりません」だった。

北朝鮮のIT企業リストやドメインネームなどを掲載している「北朝鮮テック」というサイトで公開されている情報は、以下の通り。

Korean-language online shopping site offering various North Korea goods. The domain name is registered to the “Korea Lotto Joint Venture,” a company that previously operated an online casino based in North Korea. The server is the only website still remaining inside a group of Chinese Internet addresses assigned to the DPRK’s telecom operator （North Korea Tech.Org）.
北朝鮮の様々な商品を提供する韓国語のオンライン・ショッピングサイト。以前北朝鮮でオンラインカジノを運営していた「韓国ロト・ジョイントベンチャー」というドメイン名で登録されている。このサーバーは、DPRK（北朝鮮）の電気通信事業者に割り当てられた中国のインターネット・アドレスのグループ内に残っている、唯一のウェブサイトである（北朝鮮テック）。

ここで突如として「中国のインターネット・アドレス」が浮上するわけだが、前身とされる「韓国ロト・ジョイントベンチャー」に関する情報はヒットせず。再度、Googleで検索して北朝鮮テックのサイトに飛ぼうとしたら、「このページを閲覧しないことを推奨します」という警告が表示されたので、そこですっかりビビッてしまい打ち止めにした。

ちなみにサイト上の情報は2011年2月から更新されていない。

10月に仮想通貨カンファレンス開催？

シンガポールのストレイツ・タイムズの報道によると、「北朝鮮がブロックチェーンと仮想通貨の国際カンファレンス開催を計画している」という情報は、米国ベースのラジオ・フリー・アジアが流したもの。

「10月1～3日にわたり、世界的に著名なブロックチェーン、仮想通貨専門家を招き、平壌で開催される」というが、現時点では話が急過ぎ＆デカ過ぎて、どうも真面目に受けとれないのが残念だ。