ビットメイン、BCH最大の保有者に？「全体の6%保有」の謎

マイニング大手ビットメイン（Bitmain）のビットコインキャッシュ（BCH）保有量が、今年3月の時点で全体の6%相当＝100万BCHに達していたことが、リークされたプレIPO資料から発覚した。

どうもビットコイン（BTC）を売却して、BCHやライトコイン（LTC）、ダッシュ（DASH）をどんどん買い増していたようなのだが、その真意がちょっとした謎につつまれている。

BCH最大の保有者に

プレIPO資料を最初に入手したトラストノーズ（TRUSTNODES）によると、ビットメインは2018年3月、102万1316BCHを保有していた。サトシ・ナカモトの保有量を上回る最大のBCH保有者だったということだ。8月12日現在の価格で6億ドル相当、取得価格はほぼ10億ドルである。

LTCの保有量は93万1932LTC、現在の価値で6000万ドル、取得価格は5100万ドル。DASHの保有量は31万2424DASH、現在の価値は5200万ドル、取得価格は1億300万ドル。この3つの仮想通貨だけで、総額7億ドル相当を超えていた。

一方、BTCの保有量は保有通貨のうち2番目に低い2万2082BTC、1.4億ドル相当、取得価格は1億5000万ドル。イーサリアム（ETH）は現在の価格で50万ドルにも満たない1097ETHしか保有しておらず、取得価格は80万ドルだった。

過去2年でBTC保有量を激減

ビットメインは過去2年で、BTCの保有量をどんどん減らしている。同社のアドレスをチェックすると、8月19日時点の保有量はわずか7133BTC、4534万相当と3月からさらに減っている。12日には6700BTC、4200万ドル相当まで減らしていた。

同社は主にビットコインで経費を支払っていて、12～3月にかけて1万4000BTC、それ以降は1万6000BTCを売却。過去8カ月で総額約2億ドル相当のBTCを売却したことになる。

Why they’re selling bitcoin while keeping litecoin, dash and BCH is unclear, especially when one considers all three of those cryptos are mainly priced against BTC. Which can mean a fall in bitcoin’s fiat value probably translates to, at least in part, a fall in the value of the other cryptos（TRUSTNODES）.
BTCを売却し、LTCやDASH、BCHをキープしている理由は定かではない。特にこれらの3種類の仮想通貨の価格がBTCと連動する点を考慮すると不可解だ。BTCの価格が下がれば、少なくとも一部のアルトコインの価格も下がる（トラストノーズ）。

ETHにあまり関心がないワケ

ビットメインは採掘された、或いは自社のASIC製品の支払いで受け取ったすべてのBCHをキープしつつ、現金やほかの仮想通貨でさらにBCHを買い増ししたのだろう。LTCやDASHも積極的に採掘しているが、ETHは別物と見なしているようだ。

ETHを増やしていないのは、「テリトリー違い」が理由ではないか？と、トラストノーズは推測している。ビットメインはASIC機メーカーだが、ETHのマイニングはGPUベースだ。同社は「イーサリアム向けASIC」も販売しているが、BTCやLTC向けのASICに比べると効率性ははるかに落ちる。「得意分野じゃないからあまり手を出さない」となるのも不思議ではない。

しかしこうしたBTC熱は、9月に香港で実施されIPOを機に風向きが変わるかも知れない。7月のプレIPOで10億ドルを調達し、本番では最大18億ドルを狙っていると、コインデスクは報じている。時価総額はイーサリアムを超える400～500億ドルになるのでは？との予想だ。

ASICとは？――マイニングに利用されている人気プロセッサ

「Application Specific Integrated Circuit」の略で、マイニングに利用されているプロセッサ。マイナーにダントツ人気のビットメインのASICは、150～3320ドル前後で販売されている。当然ながら、高性能なモデルになるほど高い。

9月にIPO？

コインデスクの報道によると、今年第4四半期～来年第1四半期に香港証券取引所で上場を計画中。仮想通貨関連ユニコーンのIPOというだけあって、かなりの関心を集めている。

同社の2016～2018年第1四半期にかけての利益は総額23億ドル。今年は第1四半期だけで既に20億ドルの収益を上げている。